MESHIGOTO SUPPLEMENT 01
多店舗飲食 壁突破診断キット/補足資料

酔っ手羽34店舗
FC本部構築 実録

直営17・FC17が肩を並べるチェーンで、メシゴトが関与した
「本部機能の分離」「店長パイプライン」「SV体制の再設計」の3フェーズ。
現場のリアルを、守秘に配慮した形で置いていきます。
合同会社メシゴト / 代表 大山ジュン・升本甲一
多店舗飲食 壁突破診断キット 補足資料01
発行:2026年4月

本資料について

目的
15〜30店舗の壁、30〜50店舗の壁で詰まっている経営者に、
「他チェーンはどう突破したのか」を覗いてもらうための実録。
使い方
診断ツールで弱いと出た軸(A〜E)の該当フェーズから読んでください。
全ページ通読しなくても、自社の現在地と近いフェーズだけで十分役に立ちます。

守秘に配慮した記述方針

本資料は、メシゴトが関与している酔っ手羽チェーン(本部:ENRAVE/株式会社プロジェクトM)の内部実録です。FC契約の秘密保持条項および事業上の配慮から、個別店舗名・具体売上数値・個人名は伏せています。記載粒度は「34店舗(直営17・FC17)」「客単価2,300円台」「全店黒字」レベルまで。

数値やフレームは他チェーンでも使える汎用形に整理しています。「自分たちのチェーンに置き換えるとどうか」という視点で読んでください。

このレポートで扱う3フェーズ

フェーズテーマ該当ページ
15店舗期本部機能分離の実際(店長→本部への権限移行)P4〜P5
30店舗期店長パイプライン構築と、そこで直面した挫折P6
34店舗期(現在地)SV体制の再設計(2ヶ月1回の臨店の使い方)P7

メシゴトの関与スタンス

メシゴトは、経営の横に並んで一緒に事業を作る「メシゴトパートナーズ(COO代行・FC本部構築)」として関与しています。外部コンサルではなく、内部にシフトインして手を動かす立場。本資料の3フェーズすべてで、代表2名が現場に入っています。

01. チェーンの概要(守秘レベル)

基本情報

項目内容
業態手羽先系大衆居酒屋(ローカル酒場)
店舗数34店舗(直営17・FC17)
客単価2,300円台(夜主体)
収益性全店黒字(本部調整後の月次単店ベース)
FC比率約50%(直営とFCがほぼ同数)
拡大計画34店舗→今期中に+30店舗規模の拡大を計画中

チェーンの特徴

このチェーンのユニークな点は、「直営とFCがほぼ半々」という構造にあります。直営寄りのチェーン(FC比率10%程度)とも、FC寄りのチェーン(直営比率10%程度)とも違う。どちらにも最適化しきれないからこそ、本部機能の設計が難しくなります。

大衆居酒屋/ローカル酒場として「その街の温度を1℃あげる」ことを掲げており、標準化一辺倒ではなく、地域密着の熱狂を残すオペレーション設計になっています。

「全店黒字」は、チェーン規模が大きくなるほど難しくなる。
34店舗まで来てこれを維持できているのは、本部がそれなりに機能している証拠でもある。

本部の現体制(概略)

7部門+PMI室で構成。直営部・FC支援部・人財開発部・SCM戦略部・マーケティング部・開発本部・管理統括部。加えて、3社統合のためのPMI室が時限設置されています。

特徴的なのは兼任の多さ。同じ人が「営業課長」と「トレーニング課長」と「SV課」を掛け持ちしている構造が複数あり、これが次ページ以降で語る「壁」の正体につながります。

読者へのヒント
ここから先のフェーズ記述では、「兼任」「分離」「パイプライン」 の3語が繰り返し登場します。多店舗化の壁は、ほぼこの3つの組み合わせで説明できます。
Phase 1 | 15店舗期:本部機能分離の実際

このフェーズで起きたこと

10店舗を超えたあたりから、創業メンバーの「一人で何役もやる」モデルが限界を迎えます。具体的には以下のような症状が一気に出ました。

本部機能を「どこから切り出したか」

15店舗期でまず分離したのは、以下の3機能です。「緊急度が高く」「社長でなくてもできる」仕事から切り出すのが鉄則でした。

機能切り出し前(社長兼任)切り出し後
QSC監査社長が巡回しながら指摘SV的ポジションを1名置き、チェックシートで定点測定
数値管理経理から出てくるP/Lを社長が眺める週次の売上/FL/人件費ダッシュボードを本部で作成
採用店長の個人ネットワーク本部採用窓口を1名設置、媒体選定と応募対応を一元化
「社長が現場を離れる」ことが目的ではない。
「社長が現場にいても回る仕組み」を作ることが目的。

このフェーズで一番詰まった点

本部機能を「切り出すこと」自体は、やると決めれば3ヶ月でできます。詰まるのはそこではなく、「切り出した先の人材が育っていない」という点でした。

SV的ポジションを置いたものの、その人は元店長。店長としては一流でも、他店のオーナーに対して「経営指導」をする立場に切り替わるには、半年以上の伴走が必要でした。

メシゴトの関与
このフェーズでは、COO代行ポジションとして本部機能の設計・採用基準の言語化・週次ダッシュボードの初版を代表2名で作成しました。

15店舗期に整備した「最低限の型」

このフェーズでできあがったのが、30店舗期まで使える以下の土台です。

  1. 週次数値進捗管理スプレッドシート:全店の売上・FL・客数を1枚で見る
  2. QSCチェックシート:外部覆面調査(ファンくる等)の項目と内部監査項目のマッピング
  3. 本部採用のジョブディスクリプション:「何ができたら本部で働けるか」を言語化
  4. 店長会議のアジェンダテンプレ:月1回、全店長が本部に集まる場の設計

突破の合図

15店舗期の壁を突破したサインは、分かりやすく「社長がスケジュール帳で月曜の午前を空けられるようになったか」でした。それまでは月曜午前がトラブル対応で消えていました。

15店舗期の壁は、「仕組みの壁」に見えて、実は「社長の時間の壁」。
時間を返すための仕組みを作る、という順序が一番早い。

このフェーズでの数値的な変化(定性記述)

指標傾向
人件費率本部機能切り出しで一時的に上昇(本部人件費が乗る)
店舗FL比率QSC監査の定点化で徐々に安定化
月次締め速度締め日+20日 → 締め日+10日程度に短縮
採用成功率本部一元化で媒体選定の学習が蓄積、徐々に改善
他チェーンへの翻訳
15店舗期にさしかかっている経営者への処方箋は、「本部を作る」より先に「本部が担うべき3機能をリスト化して、今それを誰が何時間やっているか可視化する」こと。可視化すると、ほぼ例外なく「社長が週30時間以上を本部業務に使っている」という事実が出てきます。そこから切り出し順を決めます。
Phase 2 | 30店舗期:店長パイプラインと挫折

このフェーズで起きたこと

30店舗が視野に入ると、本部機能の問題は一段落し、かわりに「店長が足りない」が最大のボトルネックになります。新店1店舗につき最低1名の店長+1〜2名の店長候補が必要で、月2〜3店舗ペースで出店すると年間で30〜40名の候補が要ります。

店長パイプラインを作ろうとした

「店長候補→店長代行→店長→複数店店長/エリア役」というパイプラインを言語化し、昇格試験と研修カリキュラムを整備しました。具体的には以下。

挫折:パイプラインは「作れる」が「回らない」

ここで起きた挫折は、他チェーンでもほぼ必ず起きます。パイプラインの箱はできるが、昇格を回すための「トレーニング専任」が立てられないのです。

酔っ手羽の場合、人財開発部長とトレーニング課長と採用推進課長を同じ一人が兼務する構造になっており、この方が倒れたら全出店計画が止まるリスクを抱えていました。これは他チェーンでも頻出の問題です。

「仕組みを作ること」と「仕組みを回す人を立てること」は、まったく違う仕事。
30店舗期の壁は、後者で詰まる。

この挫折からの学び

学び具体的な動き
兼任の棚卸しを定期化四半期に1回、キーパーソンの兼任数をチェック。3部門以上の兼任は「黄信号」としてフラグ
トレーニング専任化採用・営業との兼任を外し、研修設計と昇格試験運営に専念する人を置く
中間管理職の養成「複数店店長」の層を厚くして、エリアマネージャー昇格の母数を増やす
外部人材の一時活用店長代行・立ち上げマネージャーを外部派遣で一時補充し、内部人材の育成時間を確保
メシゴトの関与
このフェーズでは、メシゴトパートナーズ(本部構築)に加えて、メシともプラス(マネージャー派遣)で立ち上げマネージャーを一時補充する形で関与。内部人材の育成が追いつくまでの橋渡しを行いました。
Phase 3 | 34店舗期(現在地):SV体制の再設計

現時点の課題

34店舗に到達し、FC比率50%の構造が固まりました。ここで新たに出てきたのが、「FC加盟オーナーへのSV(経営指導)がスケールしない」問題です。

FC契約上、SV派遣は2ヶ月に1回が原則。これをベースに、17のFC店舗に対して意味のある指導を行うには、SV一人あたりの担当店舗数・臨店時間・臨店間の遠隔フォローの設計を作り直す必要があります。

再設計のポイント

(1) 臨店前6ステップと臨店中6ステップの標準化

SV活動を12ステップに分解し、臨店前に「現状把握→問題発見→課題抽出→対策立案→ニーズ/ハードル分析→シナリオ設計」、臨店中に「振り返り→合意形成→ハードル解除→行動計画→進捗確認→動機付け」を回す標準フレームを導入。

(2) 「SVからは答えを言わない」というスタンス

加盟オーナーに自分で問題を発見させる。「今月厳しかったのはどんな部分だったんですかねえ」と相談姿勢で入り、一緒に考えているスタンスで導く。これがSVスタンダードマニュアルの核です。

「教える」スタンスのSVは、オーナーのプライドを傷つけて関係を壊す。
「一緒に考える」スタンスのSVは、オーナーが自分で気づいて動き出す。

(3) 先行指標としてのCS(ファンくる)

内部分析で、ファンくる総合点数80点以下だと2ヶ月後の売上が約40万円ダウンする傾向が見えました。つまりCSは遅行指標ではなく先行指標で、SVが最優先で追うべき指標はここ。繁忙期(12月)の売上を取るには10月のファンくる80点以上が必要、という逆算で動きます。

(4) 臨店間の遠隔フォロー

2ヶ月に1回の臨店だけでは足りないので、臨店間に週次の数値ダッシュボード共有+月次のオンラインMTGを挟みます。これで実質「毎週何かしらの接点がある」状態を作ります。

メシゴトの関与
現フェーズでは、SVマニュアル再設計プロジェクトに共同で取り組んでいます。「作業/おもてなし」の2分類で再設計し、お食事→接客→動画の3ステップで成果物を納品する設計。蔵田さん(FC支援部長)・広兼さん(人財開発部長)との定例で進行中です。

02. 他チェーンが真似できる 学び7選

このチェーンの事例から、業態が違っても翻訳できるエッセンスを7つに絞りました。自社の現在地と照らして使ってください。

01本部機能は「緊急度が高く、社長でなくてもできる」ものから切り出す

QSC監査・数値集計・採用窓口の3点が、ほぼ全チェーン共通の「最初に切り出すべき3機能」。戦略立案や不動産交渉から切り出そうとすると、必ず失敗します。

02兼任の棚卸しを四半期に1回やる

3部門以上の兼任は「黄信号」。キーパーソンが倒れた瞬間に全出店が止まるリスクを可視化し、専任化の順序を決めます。トレーニング専任の不在が、ほぼ確実に30店舗期のボトルネックになります。

03CSは遅行指標ではなく「先行指標」として扱う

ファンくる80点以下だと2ヶ月後に売上が約40万円ダウンする、という傾向が出ている以上、CSは「売上の2ヶ月先を映す鏡」。繁忙期対策は2ヶ月前のCS改善から。

04SVは「教える」ではなく「一緒に考える」

FCオーナーは経営者。教える姿勢は関係を壊します。「今月厳しかったのはどこだったんですかねえ」と相談姿勢で入り、オーナー自身に問題を発見させる。

052ヶ月に1回の臨店だけでは足りない。間に週次・月次を挟む

FC契約上のSV頻度は2ヶ月1回でも、実運用では週次ダッシュボード共有+月次オンラインMTGを挟み、「毎週何かしらの接点がある」状態にします。ボクサーが毎日体重計に乗るように、継続接点が成果を決めます。

06内部人材が育つまで、外部派遣で時間を稼ぐ

店長代行・立ち上げマネージャーを内部だけで用意しようとすると、出店ペースが落ちるか内部育成が焦ってバーンアウトします。外部派遣(メシともプラス等)で一時補充し、内部育成に必要な時間を確保するのが現実解です。

07「仕組みを作る」と「仕組みを回す人を立てる」は別の仕事

組織図・マニュアル・昇格試験・ダッシュボード——箱は作れます。しかし回るかどうかは、その箱を運用する専任者が立っているかにかかっています。箱作りで満足せず、運用者の専任化まで一気通貫で設計してください。

03. メシゴトの関与領域

本事例で、メシゴトが担っている役割を3サービスに分けて整理します。「何をお願いできるか」のイメージとして使ってください。

メシゴトパートナーズ(経営支援・COO代行/FC本部構築)

メシドック(派遣連動レポート)

メシゴトパートナーズ / 人材領域との接続

FC本部構築は、外から助言するだけでは動きません。
内部に入って手を動かせる相棒が要ります。そこを担うのがメシゴトパートナーズです。

お問い合わせ

ご相談窓口
合同会社メシゴト 代表 大山ジュン・升本甲一
Email:info@meshigoto.com
「壁突破診断キット経由」とご記載いただければ、優先的にお返事します。

奥付

発行元

商号合同会社メシゴト(Meshigoto LLC)
代表升本 甲一・大山 ジュン(共同代表)
設立2025年7月
所在地〒151-0053 東京都渋谷区代々木2丁目27-16 ハイシティ代々木303
許認可有料職業紹介事業許可 13-ユ-319343
連絡先info@meshigoto.com

事業内容

本資料の取り扱い

関連資料

資料名内容
補足資料02ベンチマーク数値集(業態別の参考値)
補足資料03メシゴトサービスカタログ(導線マップ付)
診断ツール本体多店舗飲食 壁突破診断キット(Excel)
解説書5軸フレーム解説(PDF)
テンプレート本部/店舗運営の標準化テンプレート6種
最後に
「うちの壁と似てるかも」と感じたら、30分の無料相談をお受けしています。遠慮なく info@meshigoto.com までご連絡ください。現場経験のある代表2名が直接お話しします。