本資料は、メシゴトが関与している酔っ手羽チェーン(本部:ENRAVE/株式会社プロジェクトM)の内部実録です。FC契約の秘密保持条項および事業上の配慮から、個別店舗名・具体売上数値・個人名は伏せています。記載粒度は「34店舗(直営17・FC17)」「客単価2,300円台」「全店黒字」レベルまで。
数値やフレームは他チェーンでも使える汎用形に整理しています。「自分たちのチェーンに置き換えるとどうか」という視点で読んでください。
| フェーズ | テーマ | 該当ページ |
|---|---|---|
| 15店舗期 | 本部機能分離の実際(店長→本部への権限移行) | P4〜P5 |
| 30店舗期 | 店長パイプライン構築と、そこで直面した挫折 | P6 |
| 34店舗期(現在地) | SV体制の再設計(2ヶ月1回の臨店の使い方) | P7 |
メシゴトは、経営の横に並んで一緒に事業を作る「メシゴトパートナーズ(COO代行・FC本部構築)」として関与しています。外部コンサルではなく、内部にシフトインして手を動かす立場。本資料の3フェーズすべてで、代表2名が現場に入っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業態 | 手羽先系大衆居酒屋(ローカル酒場) |
| 店舗数 | 34店舗(直営17・FC17) |
| 客単価 | 2,300円台(夜主体) |
| 収益性 | 全店黒字(本部調整後の月次単店ベース) |
| FC比率 | 約50%(直営とFCがほぼ同数) |
| 拡大計画 | 34店舗→今期中に+30店舗規模の拡大を計画中 |
このチェーンのユニークな点は、「直営とFCがほぼ半々」という構造にあります。直営寄りのチェーン(FC比率10%程度)とも、FC寄りのチェーン(直営比率10%程度)とも違う。どちらにも最適化しきれないからこそ、本部機能の設計が難しくなります。
大衆居酒屋/ローカル酒場として「その街の温度を1℃あげる」ことを掲げており、標準化一辺倒ではなく、地域密着の熱狂を残すオペレーション設計になっています。
7部門+PMI室で構成。直営部・FC支援部・人財開発部・SCM戦略部・マーケティング部・開発本部・管理統括部。加えて、3社統合のためのPMI室が時限設置されています。
特徴的なのは兼任の多さ。同じ人が「営業課長」と「トレーニング課長」と「SV課」を掛け持ちしている構造が複数あり、これが次ページ以降で語る「壁」の正体につながります。
10店舗を超えたあたりから、創業メンバーの「一人で何役もやる」モデルが限界を迎えます。具体的には以下のような症状が一気に出ました。
15店舗期でまず分離したのは、以下の3機能です。「緊急度が高く」「社長でなくてもできる」仕事から切り出すのが鉄則でした。
| 機能 | 切り出し前(社長兼任) | 切り出し後 |
|---|---|---|
| QSC監査 | 社長が巡回しながら指摘 | SV的ポジションを1名置き、チェックシートで定点測定 |
| 数値管理 | 経理から出てくるP/Lを社長が眺める | 週次の売上/FL/人件費ダッシュボードを本部で作成 |
| 採用 | 店長の個人ネットワーク | 本部採用窓口を1名設置、媒体選定と応募対応を一元化 |
本部機能を「切り出すこと」自体は、やると決めれば3ヶ月でできます。詰まるのはそこではなく、「切り出した先の人材が育っていない」という点でした。
SV的ポジションを置いたものの、その人は元店長。店長としては一流でも、他店のオーナーに対して「経営指導」をする立場に切り替わるには、半年以上の伴走が必要でした。
このフェーズでできあがったのが、30店舗期まで使える以下の土台です。
15店舗期の壁を突破したサインは、分かりやすく「社長がスケジュール帳で月曜の午前を空けられるようになったか」でした。それまでは月曜午前がトラブル対応で消えていました。
| 指標 | 傾向 |
|---|---|
| 人件費率 | 本部機能切り出しで一時的に上昇(本部人件費が乗る) |
| 店舗FL比率 | QSC監査の定点化で徐々に安定化 |
| 月次締め速度 | 締め日+20日 → 締め日+10日程度に短縮 |
| 採用成功率 | 本部一元化で媒体選定の学習が蓄積、徐々に改善 |
30店舗が視野に入ると、本部機能の問題は一段落し、かわりに「店長が足りない」が最大のボトルネックになります。新店1店舗につき最低1名の店長+1〜2名の店長候補が必要で、月2〜3店舗ペースで出店すると年間で30〜40名の候補が要ります。
「店長候補→店長代行→店長→複数店店長/エリア役」というパイプラインを言語化し、昇格試験と研修カリキュラムを整備しました。具体的には以下。
ここで起きた挫折は、他チェーンでもほぼ必ず起きます。パイプラインの箱はできるが、昇格を回すための「トレーニング専任」が立てられないのです。
酔っ手羽の場合、人財開発部長とトレーニング課長と採用推進課長を同じ一人が兼務する構造になっており、この方が倒れたら全出店計画が止まるリスクを抱えていました。これは他チェーンでも頻出の問題です。
| 学び | 具体的な動き |
|---|---|
| 兼任の棚卸しを定期化 | 四半期に1回、キーパーソンの兼任数をチェック。3部門以上の兼任は「黄信号」としてフラグ |
| トレーニング専任化 | 採用・営業との兼任を外し、研修設計と昇格試験運営に専念する人を置く |
| 中間管理職の養成 | 「複数店店長」の層を厚くして、エリアマネージャー昇格の母数を増やす |
| 外部人材の一時活用 | 店長代行・立ち上げマネージャーを外部派遣で一時補充し、内部人材の育成時間を確保 |
34店舗に到達し、FC比率50%の構造が固まりました。ここで新たに出てきたのが、「FC加盟オーナーへのSV(経営指導)がスケールしない」問題です。
FC契約上、SV派遣は2ヶ月に1回が原則。これをベースに、17のFC店舗に対して意味のある指導を行うには、SV一人あたりの担当店舗数・臨店時間・臨店間の遠隔フォローの設計を作り直す必要があります。
SV活動を12ステップに分解し、臨店前に「現状把握→問題発見→課題抽出→対策立案→ニーズ/ハードル分析→シナリオ設計」、臨店中に「振り返り→合意形成→ハードル解除→行動計画→進捗確認→動機付け」を回す標準フレームを導入。
加盟オーナーに自分で問題を発見させる。「今月厳しかったのはどんな部分だったんですかねえ」と相談姿勢で入り、一緒に考えているスタンスで導く。これがSVスタンダードマニュアルの核です。
内部分析で、ファンくる総合点数80点以下だと2ヶ月後の売上が約40万円ダウンする傾向が見えました。つまりCSは遅行指標ではなく先行指標で、SVが最優先で追うべき指標はここ。繁忙期(12月)の売上を取るには10月のファンくる80点以上が必要、という逆算で動きます。
2ヶ月に1回の臨店だけでは足りないので、臨店間に週次の数値ダッシュボード共有+月次のオンラインMTGを挟みます。これで実質「毎週何かしらの接点がある」状態を作ります。
このチェーンの事例から、業態が違っても翻訳できるエッセンスを7つに絞りました。自社の現在地と照らして使ってください。
QSC監査・数値集計・採用窓口の3点が、ほぼ全チェーン共通の「最初に切り出すべき3機能」。戦略立案や不動産交渉から切り出そうとすると、必ず失敗します。
3部門以上の兼任は「黄信号」。キーパーソンが倒れた瞬間に全出店が止まるリスクを可視化し、専任化の順序を決めます。トレーニング専任の不在が、ほぼ確実に30店舗期のボトルネックになります。
ファンくる80点以下だと2ヶ月後に売上が約40万円ダウンする、という傾向が出ている以上、CSは「売上の2ヶ月先を映す鏡」。繁忙期対策は2ヶ月前のCS改善から。
FCオーナーは経営者。教える姿勢は関係を壊します。「今月厳しかったのはどこだったんですかねえ」と相談姿勢で入り、オーナー自身に問題を発見させる。
FC契約上のSV頻度は2ヶ月1回でも、実運用では週次ダッシュボード共有+月次オンラインMTGを挟み、「毎週何かしらの接点がある」状態にします。ボクサーが毎日体重計に乗るように、継続接点が成果を決めます。
店長代行・立ち上げマネージャーを内部だけで用意しようとすると、出店ペースが落ちるか内部育成が焦ってバーンアウトします。外部派遣(メシともプラス等)で一時補充し、内部育成に必要な時間を確保するのが現実解です。
組織図・マニュアル・昇格試験・ダッシュボード——箱は作れます。しかし回るかどうかは、その箱を運用する専任者が立っているかにかかっています。箱作りで満足せず、運用者の専任化まで一気通貫で設計してください。
本事例で、メシゴトが担っている役割を3サービスに分けて整理します。「何をお願いできるか」のイメージとして使ってください。
| 商号 | 合同会社メシゴト(Meshigoto LLC) |
|---|---|
| 代表 | 升本 甲一・大山 ジュン(共同代表) |
| 設立 | 2025年7月 |
| 所在地 | 〒151-0053 東京都渋谷区代々木2丁目27-16 ハイシティ代々木303 |
| 許認可 | 有料職業紹介事業許可 13-ユ-319343 |
| 連絡先 | info@meshigoto.com |
| 資料名 | 内容 |
|---|---|
| 補足資料02 | ベンチマーク数値集(業態別の参考値) |
| 補足資料03 | メシゴトサービスカタログ(導線マップ付) |
| 診断ツール本体 | 多店舗飲食 壁突破診断キット(Excel) |
| 解説書 | 5軸フレーム解説(PDF) |
| テンプレート | 本部/店舗運営の標準化テンプレート6種 |